2007年09月08日

★辻静雄さんの世界を垣間見る★『フランス料理の手帖』にみる、おいしいもの考など★

久々に本の話など。

図書館に通っていて、いつも思うことがあります。
それは「これだけ本があるのに、心の通う本ってそうそうないもんだな」って。
そりゃそうですよね。
マニュアル本や解説書を読んでいちいち心が通ってたら、まぁ、それはそれで素晴らしいけど、大変だもの。

そんな中で、まーるが手元に置いてよく持ち歩いている本があります。
それは「辻静雄」さんの著書『フランス料理の手帖
(まーるが買ったのは新潮文庫のものですが、
 現在は『舌の世界史』という本と合わせて
 ちくま文庫より『辻静雄コレクション〈1〉』として販売されているようです。)

辻静雄さんという方は、料理人であり、日本におけるフランス料理研究の先駆者でもあり、
またかの有名な「辻調理師学校」の創立者でもあり、優れた作家でもあります。
(辻静雄さんについてのwikipediaはこちら

まーるは、この方の文章に惚れとります。
なにが素晴らしいって、そのわかりやすさが素晴らしい!
難しい言葉や、意味不明のカタカナの羅列などありません。
こねくりまわした言い回しや、過剰な感情投入などもありません。
もちろん、フランス料理の専門用語はありますが、
それはいつも前後の文脈から意味が読み取れるようになっています。
多分、意識して無理やりそうしたのではなく「伝わるように」という気持ちから自然とそうなったんじゃないかと、まーるは思います。

そしてそのわかりやすさもさることながら
なんともいえず柔らかなユーモアのセンス。素敵です、本当に。
特に爆笑を誘うようなわけでなく、読んでいて自然と笑みがこぼれてくるような
そんな穏やかな笑いのエッセンス。
これはもう、辻静雄さんのお人柄からくるものとしか思えませんが、
料理とそれを取り巻く人々や物たちに向けられる視線が、とても温かいのです。

おそらくはとても真面目で、というより楽しむことに真面目、と言った方がいいかもしれません。
そして謙虚でいて、知識に貪欲で、読んでいると、辻さん自身が楽しんでいる気持ちがじんわり伝わってきます。

そんな辻静雄さんの本から、料理や料理にまつわるいろいろな物事へのスタンスが読み取れる部分を
一部ですが、ご紹介してみますと。。。


●食通について
・・・(前略)・・・知ろうとする欲求、おいしいものがどこにあるかを知りたいという気持ち、
何を犠牲にしてでも、それを食べてみようという意思がなければ、
おいしいものにはあやかれない。
いったい、もっとおいしいものがあるかもしれないということを考えてみない食通なんて
存在するのだろうか。


辻さんの、おいしいものに対する貪欲な探究心がみてとれますね。
「何を犠牲にしてでも」というところが凄い!情熱が違いますねぇ〜。


●ワインと料理について
・・・(前略)・・・しかし、どのワインがどの料理に合うかということも、
とどのつまりは、その場限りのもの。
ある時、だれかが、料理を作り、その料理とワインがよくマッチしておいしかったと思うということ以外に、ワインの存在理由はない。
ここのところを多くの人たちは誤解しているように思われる。
私は料理人だから、自分の作る料理は心をこめて作るが、
それからさきはまったく未知の世界に属することになる。
つまり、あとでお客様がその料理とワインを楽しまれ、
なにか感銘を受けられたにしても、それはそのお客様個人の感銘である。
そのワインや料理が、だれにでも合うものであると断定することができるだろうか。
だから、私は、ワインだけをとりあげるのには賛成ではなく、
また料理とともにワインを論ずるにしても、
その論ずる人の経験とか、環境、つまり生活の背景みたいなものまで確かめてかからないといけないと思うのだ。
ということは、世界で一番うまい酒などというものはナンセンス、高いというのなら話はわかる。


そしてワインブームに乗ったワインの語られ方についての意見も至極自然な、理にかなったスタンスだなと、まーるは思います。
つまるところ、「おいしい」というのは、全くもって個人の主観であり感銘なのですよね。
まーるは幸いにしてワインと料理について「こうあるべき」「こうでなけりゃ」というウンチクを傾けられた経験はありませんが、そういうウンチクはやっぱりno thank you!ですね。


●片田舎にうまいものあり
私は、仕事でよくフランスの田舎のレストランを食べて歩くが、私の信ずる限り世界で最高のレストランが一軒ある。
・・・(中略)・・・ある人は自分の家でとれる卵を二百個ぐらい持ってきて、その売れたお金でもって、下着を買って帰ったり、
あるお百姓さんは、自分の家の畠にできているアスパラガスを抜いてきて、売って、それでもってチキンを買って帰ったり、
あるお百姓さんは、生きた仔羊を連れてくる。その市の中で、あちこちあばれ出すといけないので、丸ごとズタ袋に入れておいてある。
・・・(中略)・・・朝の六時頃からお昼頃まで、百七、八十人のお百姓さんが大きな声を張り上げてわめいている。
この人たちの食べるのが、本当のフランス料理なのだ。何百年の昔から、自分の近所でとれる材料しか使わないで作るフランス料理。
ヨーロッパへ旅行した人が、フランス料理がおいしいからといって食べてみて、おいしくなかったなんていうけれど、何を一体食べてくるのか。旅行社のお仕きせの旅行なんかする人に、こんなことをいう資格はない。


辻さんの、料理人としての誇り、有名でなくとも地に足をしっかりと据えて額に汗し、
まっとうに仕事に励む世界中の料理人の人々に対する愛情、のようなものが伝わってきます。
そして、辻さんという方は、料理を語るためのバックグラウンドというものを実に大事にされるなぁと思います。
料理を語るときに、作る人、食べる人、その背負った人生や店の歴史など、
料理の向こうに時間を感じ取れる、そんな深い洞察を感じます。

他にも、楽しく、また興味深い話がたくさんありますがそれは読んでのお楽しみということで。

また、辻静雄さんの本には、他に『ワインの本』という、辻さんのワインへの愛情がいっぱい詰まった
解説書があります。
葡萄の育て方からワインの醸造法まで、大変大変わかりやすく説明してくれてありまして、
途中、まるで童話のように思う部分もあるほどです。
ワインのことを知りたいけど、ハウツー本では味気ない・・などと思う方は、
一度手にとられては如何でしょうか。
わかりやすさと、その情報の質の高さにさぞ驚かれることと思います。


というわけで、
結局ね、フランス料理でもどんな料理でも、
喜んで食べてくれる人がいる、楽しく語らう団欒があるというのは、
何にもまして素敵なことだと、激しく思う今日この頃です。。。。。(涙)
posted by まーる at 21:38| Comment(0) | TrackBack(4) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月18日

★「華麗なる一族」山崎豊子原作 年明けドラマ化!しかもキムタクですか!★


●シリアスもいいとこだけど実は結構エロがきーぽいんとなこの作品、ゴールデンで大丈夫スか?!

来年年明け早々、TBSで華麗なる一族というドラマが始まります。
まーるは友人の薦めで山崎豊子なる作家の作品を初めて読んだのですが、いや、この方の作品の骨太なこと!質の高い取材に裏打ちされたと思われるリアルさと人間の業のようなものへの深い洞察。すんごいです。中でもこの「華麗なる一族」は、まーる好みの淫靡なものが底辺に流れていて、速攻ハマりました。結構何度も読み返しましたね。(ちなみにまーるは気にいるとそればーーーっかりで他に目が行かなくなるクチです。)しかしね、最後がね。これはどうなんだろう。ドラマ化するとしたらこの結末はないんじゃないかな。多分変えられてしまうんじゃないか。それとも少しソフトになるのかな。まーるとしてはそりゃやっぱり原作に忠実にドラマ化して欲しいですけどね。

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posted by まーる at 19:34| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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